週刊少年ジャンプにて連載中の『僕のヒーローアカデミア』で、ヒーロー科1年A組の担任を務めるプロヒーロー・相澤消太。序盤こそクラス全員を除籍処分にした過去や、デクへの態度などで厳しい一面が強調されていましたが、USJ襲撃における活躍を見て相澤先生推しになった方も多いのではないでしょうか。
そんな彼のヒーロー名は「イレイザー・ヘッド」。今回は、この「イレイザー・ヘッド」という名前がどのような意味を持ち、どのような由来があるのかを調べていきたいと思います。
「イレイザーヘッド」の由来① 直訳の意味
まず英語から日本語に直訳すると、「イレイザーヘッド(eraserhead)」は「消しゴム付き鉛筆の消しゴム」という意味になります。
“erase” は「消す」という意味の動詞で、”eraser” は「消しゴム」です。こちらに”head”「頭」がくっついて、”eraserhead”「消しゴム付き鉛筆の消しゴム」となるわけですね。
相澤先生の「相手の個性を消す」という個性から考えて、このネーミングはしっくり来ますね。
「イレイザーヘッド」の由来② 同タイトルの映画
私も初めは「イレイザーヘッド…なるほど、個性を消すからか」としか考えていませんでしたが、調べていくうちに、このヒーロー名にはもっと深い意味が隠されていることに気が付きました。
なんと、元ネタは1977年にアメリカで公開された映画『イレイザーヘッド』(デヴィッド・リンチ監督)でした。この映画はカルト映画の代表作となっており、モノクロで描かれる不気味で難解な世界観が特徴の映画です。
上の写真で一目瞭然ですが、消しゴムのようなもじゃもじゃ頭が相澤先生によく似ていますね。また、先生の全身真っ黒な服に灰色の布を首に巻きつけた容姿も、モノクロで描かれた同名映画の世界観と一致しています。
こちらの映画の細かいストーリーについては割愛しますが、大まかな内容は以下の通りです。
消しゴムのような髪形から「イレイザーヘッド」と呼ばれるヘンリーは、恋人から肢体が不自由な赤ん坊を産んだことを告白され、恋人との結婚を決意する。ところが彼女はおぞましい形相の赤ん坊に耐え切れずにやがて家を出てしまい、残されたヘンリーは1人で赤ん坊を育てることになるが……。
映画.com より引用
さて、あらすじを見ただけでもかなりの問題作であることが明らかですが、本当に相澤先生のヒーロー名の由来はこの映画なのか。そう疑問に思った方も多いはずです。ただ、ご安心を。実はこちらの映画と相澤先生には大きな共通点があるのです。
映画『イレイザーヘッド』は、ストーリーからも窺える通り、大きな予算をかけて広く認知されるハリウッド大作のようなものではなく、低予算で個人的な趣味を突き詰めて作られたアンダーグラウンドな作品です。
一方、ヒロアカの相澤先生は、人気商売である「ヒーロー」という仕事に就きながらも「メディアへの露出を控え、アンダーグラウンドで活躍する」キャラクターとして描かれています。この設定が、映画の背景と大きく重なるのです。
相澤先生については、アニメでも初期から、その知名度の低さや、平和の象徴であるオールマイトとの対比がなされてきました。
このようにアンダーグラウンドをひた走るイレイザーヘッドですが、相澤先生と映画のさらなる共通点として、「大衆に媚びず己の道を貫きながらも、その姿勢を支持する人が一定数いる」という点があります。
映画『イレイザーヘッド』は決して大衆から愛されるような映画ではありませんが、一部のコアなファンからは熱烈な支持を受けています。一方で相澤先生は、デクをはじめとした1年A組の生徒から絶大な信頼を集めています。それは、緊急時に自らを犠牲にして生徒を守る姿であったり、生徒が過ちを犯した時には公の場で誠心誠意謝罪をする漢気を生徒達が認めているからです。
このように考えていくと、「イレイザーヘッド」というヒーロー名が、より相澤先生にピッタリだと感じますね。
まとめ
相澤先生のヒーロー名を付けたのは、同じ雄英高校の教師で、相澤の高校時代からの親友でもあるプレゼント・マイクです。
相澤がヒーロー名をどうしようか悩んでいるときに、その場で思いついたかのように言った「イレイザー・ヘッド」という名前ですが、実はプレゼント・マイクなりの願いが込められていたのかと思うと胸が熱くなりますね。
【本記事の参考文献】
イレイザーヘッドの元ネタは朝問題作!ヒロアカと同名映画の関連性について